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仕事との両立

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休職時に活用できる職場の制度

1 休暇制度

【時間単位の年次有給休暇】
労働基準法に基づき、1日単位の有給休暇を時間単位で取得可能にする制度である。使用者(会社や事業主)と労働者の代表が労使協定を結べば、1時間単位で取得することが可能である(上限は1年で5日分)。この制度を利用することで、例えば、治療のための通院時間を時間単位で取得する(午前中 9:00〜12:00 の 3時間の有給休暇取得)なども可能となる。

【傷病休暇・病気休暇】
事業者が自主的に設ける法定外の休暇であり、年次有給休暇とは別に、入院や通院のために設けられる休暇制度である。取得条件や取得中の処遇(賃金の支払いの有無等)等は職場ごとで異なる。

2 勤務制度

【時差出勤制度】
事業者が自主的に設ける勤務制度であり、始業および終業の時刻を変更することにより、通勤時間帯を避けての通勤が可能となる。例えば、通勤中に座ることが必要などの場合に、満員電車の時間帯を避けて通勤できるなどで、有用な制度となる。

【短時間勤務制度】
事業者が自主的に設ける勤務制度であり、育児、介護休業法に基づく短時間勤務制度とは別で、療養中・復職直後の負担軽減を目的に所定労働時間を短縮する制度である。
退院直後など、体力的にフルタイム勤務が困難と考えられる場合などで、有用な制度である。

【在宅勤務(テレワーク)】
事業者が自主的に設ける勤務制度で、パソコンなどの情報通信機器の活用により自宅勤務を可能にし、通勤による身体への負担軽減を図ることができる。新型コロナウイルス感染症のまん延により普及した制度であり、様々な状況において有用である。

【試し出勤制度】
事業者が自主的に設ける勤務制度であり、長期間休業後の復職を支援するために、勤務時間や勤務日数を短縮した試し出勤等を行うものである。復職や治療を受けながら働くことに不安を抱える労働者や、その受け入れに対して懸念を持つ職場の関係者の不安を和らげ、スムーズな就業を目指した具体的な準備を進めることができる。

利用可能な公共の支援機関

1 産業保健総合支援センター (さんぽセンター)

各都道府県には、治療と仕事の両立を支援する専門の相談員が配置されており、以下のよ うな支援を行うことで、働きながら治療を続ける環境づくりを支援しています。
・事業者向けに、治療と仕事の両立について理解を深めるためのセミナーを開催
・産業医や保健スタッフ、人事・労務担当者に対して、専門的な研修を実施
・労働者や事業者からの相談を受け付け、対応
・両立支援を進めている事業所を訪問し、具体的なアドバイスや指導を提供
・労働者と事業者の間で、両立支援に必要な調整をサポート

失業中の生活を支える雇用保険(失業手当)の手続きも行います。病気で求職活動ができない場合は、受給期間の延長などの手続きが必要になることがあります。

お近くのハローワークにご相談ください。

2 ハローワーク

がん診療連携拠点病院などと協力して、患者の病状や通院頻度に合わせた就労支援を行っ ています。これには、患者さんが働きやすい条件を考慮したアドバイスや、事業主向けのセ ミナーの開催が含まれます。さらに、「難病患者就職サポーター」を配置し、難病相談支援 センターや地域の関連機関と連携しながら、難病患者一人ひとりの希望や特性、必要な配慮 を考慮した職業相談や仕事紹介を行っています。また、就職後の定着を支えるための支援も 包括的に提供しています。

3 障害者就業・生活支援センター

障害者が職業生活で自立できるように、雇用、保健、福祉、教育などの関連機関と連携し、 身近な地域で就労支援と生活支援を一体的に行っています。
地域障害者職業センター(各都道府県に 1 か所(支所 5 か所を含む)設置)は独立行政法 人高齢・障害・求職者雇用支援機構によって運営されています。ここでは、専門の「障害者 職業カウンセラー」が配置され、障害者一人ひとりのニーズに合わせた職業評価、職業指導、 職業準備訓練、職場適応支援などの職業リハビリテーションを提供しています。また、事業 主に対しては、雇用管理に関する専門的なアドバイスや支援を行い、さらに地域の関連機関 に対しても職業リハビリテーションに関する助言や支援を行うことで、障害者の雇用促進と 職業生活の安定を支援しています。

4 難病相談支援センター

難病患者が地域で安心して療養しながら生活を続けられるよう、相談や支援、地域交流活 動の推進、就労支援などを行う拠点施設です。この施設では、難病診療連携拠点病院やハロ ーワークなどの就労支援機関と連携し、難病患者が暮らしやすい環境づくりを支援していま す。具体的な取り組みは、以下の通りです。
・関係者からの相談対応
・患者(労働者)と事業者の間での調整支援
・難病に理解のある企業を広く周知するための活動やイベントの開催
・企業向けに難病への理解を深めるための取り組みの実施

仕事復帰時の注意点

仕事復帰の際に気を付けることがあれば教えてください。
自身の病状と仕事への影響を理解する

実際に仕事を再開すると、予想以上に体がつらく感じたり、自身の体力が落ちていることに気づく場合があります。業務上の協力や配慮を得るためには、職場の理解と支援が必要不可欠です。まず、患者さん自身が病状や治療状況を正しく理解することが大切です。治療による副作用や体力の低下がどの程度仕事に影響を与えるかを把握し、それに応じて適切な対応を取ることが求められます。

職場とのコミュニケーションと情報共有

どのように職場の人事担当者や上司に伝えたら良いか、また何を確認すべきかなど、医療ソーシャルワーカーや両立支援コーディネーターに相談することも効果的です。職場とのコミュニケーションは非常に重要です。上司や人事担当者、産業医と体調や治療スケジュールを共有し、適切なサポートを受けることが、円滑な仕事復帰につながります。

職場制度の活用と段階的な復帰

仕事と治療を両立させるために、職場の制度を確認し、積極的に活用しましょう。復職時には、短時間勤務や在宅勤務など、身体に負担の少ない働き方から始めることをお勧めします。徐々に勤務時間や業務量を増やしていくと、無理なく仕事に戻ることができます。

医療チームやカウンセラーへの相談

復職に不安やストレスを感じた場合は、医療チームやカウンセラーに相談することも大切です。精神的な負担を軽減するサポートを受けることで、安心して仕事に復帰できます。

経済的な不安への対策

もし収入面での不安がある場合は、傷病手当金や休業補償などの制度を活用することを検討しましょう。

主治医への書類依頼と情報提供

主治医に勤務先に提出する書類を依頼する際は、職務に関する情報を主治医に提供しましょう。職場で定められている「勤務情報提供書」などの様式を活用するのも有効ですS。自分で情報収集が難しい場合や勤務先の規則が不明な場合は、産業保健スタッフや人事担当者に相談してください。